Column

6月の昼寝

2024.06.24

6月が好きです。少し前まで寒さに震え、外はすぐに暗くなっていたというのに、6月というのはとても清々しい。
新潟県で暮らしていると、暖房と冷房を使わずに過ごせる期間がとても貴重に思えます。
今の時期は、窓から爽やかな風が入ってきて気持ちがよく、お昼寝にぴったりです。

私はとにかく寝るのが大好きで、そのせいか朝は苦手です。
大学入学後は午前中の授業への出席を早々に諦め、単位の半分以上を落としました。
どうしたら無事に卒業できるかばかりを考えていたので、大学4年間で最も向き合った書物は卒業要件を満たす条件を記した「便覧」でした。便覧に書かれている内容に限り、知識が十分にあったので、友達の役には立ちました。

ちょっとしたエピソードとして思い出されるのは、初回に出席しさえすれば単位を取得できるという伝説の1コマ。毎回レギュラー参加していたサークルを欠席し、その授業へと足を運ぶと、単位が足りていないのではないかと噂されている同じサークルの先輩方が全員いました。そのときほど自分が置かれている状況が、非常に危機的だと察したときはないです。

そんな大学時代、当時はホームページを自作するツールが世に出はじめた頃でした。
それを活用して、ホームページを制作、公開するのがトレンドだった頃。

私は、ひとつ先輩だったけど留年して同じ年に卒業したOさんと2年後輩のTくんと一緒に、経済学部なのにITスキルの高いI先輩が作ってくれたホームページに日々思ったことを徒然と書いていました。

今はまったく珍しくありませんが、当時は画期的だったスタイル。ひとつのホームページの中に、私、Oさん、Tくん、3つの入り口があって、各自の日記が読めるというサイトです。

誹謗中傷という概念のない時代、好きなことを好きなだけ、好きなときに書いていました。
SNSなんてないというのに、それがちょっとバズって、そこそこの閲覧数を誇っていたのです。

あのときのように、思うがまま綴れる場所があればいいのにと願うこと20年以上。
ついにWORK SUサイト内のコラムでその願いが実現しました。

20年のときを経て、叶ったことがもうひとつ。
書くことを仕事にしたいと夢みたいな理想を描いて就職活動をしたのが2000年前半。
かろうじて入社できたのは、ライティングとは畑違いの業種でした。
書くことを仕事にしたい。本当はそう思っていたのに、それは到底叶わぬことだと諦めて20年。
私は40歳から、書くことを仕事にしています。

人生何があるか本当にわかりません。
いつか来るチャンスを逃さないために、私たちは経験や知識を得て、人脈を広げているのかもしれません。
そんなふうに思います。

Writer

齋藤 悦子

1980年生まれ。就職氷河期に社会人デビュー。26歳から13年間採用支援業界に身を置く。ひょんなことからフリーライターの道へ。ラジオとエッセイとレモンサワーが好き、スノーボードとたまにテニス、ドラム特訓中。

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