Column
2024.10.21
納得しがたい結果に必要以上にしがみつくこと、どう思いますか?
個人的にけっこうびっくりしちゃうなと思うのは、採用不合格になった企業に対して「自分のやりたい仕事はこの会社でしかできない」とか「これ以上の職場はない」とか言葉にする人。
若い世代がそう思うことは納得できるんです。
「気になる企業に入りたい」「この企業こそが理想の会社だ」と、明るい未来を期待しているのは、むしろ微笑ましいくらいです。
私が気になっちゃうのはもっと大人の話。30代とか、40代とか。
手に入らないものほど欲しくなるものですから、この気持ちに一定の共感はできるんだけど、なかなかに思い込みが強いなぁと驚きます。
仕事なんて、社会なんて、人生なんて、絶対に思い通りにいかないし、採用においては、タイミングとか相性とか、なんだか言葉では説明できない事情が絡んでいるものです。
そうわかっているだろうになぁと思うから、謎に思うんですね。
この合否にまつわる「なんとなく」の基準は、きっとどんどん明確になってくる予感があります。実際もうなっているのでしょうか。
(一方で、面接官もジャッジをする人も少なからず人間が関わるわけで、明確化が進むにしても、今みたいに「言葉にできない判断」はまったくなくならないような気もする、という気持ちもあります)
私は、人生で最初にやってくる「不条理」は、就活だよねと常々思っています。
もちろん猛威を振るった最新タイプのウイルスのせいで、それ以前とはまったく違う学生生活を送らなくてはならなかったことも不条理だし、家庭の意向で小学生のときにSwitchを買ってもらえないことも不条理(ん?これは違うか?)です。生きていると大中小さまざまな不条理はあるんだけど、人生の大まかなステップにおいて、就活以上の不条理ってあるでしょうか。
コロナ禍で航空業界が打撃を受け、採用休止に追い込まれました。
あの当時、航空会社を志望していた学生さんはどうやって折り合いとつけたのだろうと想像します。きっとスパッと「しょうがない。そうゆうこともあるよね」と割り切れなかったでしょうね。
就活の不合格って、どうしたって結果に納得できない部分があるもの。
悔しさや精神的なダメージをどこにぶつけたらいいのかわからない人生のステップ。
どうして?
なんで?
誰も納得できる説明をしてくれない就活。
これが受験の大きな違いだと思っています。
就活はもう、「不条理」と割り切る以外に心の持っていきようがない。
それが私の答えです。
Writer
1980年生まれ。就職氷河期に社会人デビュー。26歳から13年間採用支援業界に身を置く。ひょんなことからフリーライターの道へ。ラジオとエッセイとレモンサワーが好き、スノーボードとたまにテニス、ドラム特訓中。
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