Column
2025.09.24
マンションの玄関を開けると、確かに秋の気配がしました。
一歩でも部屋の外に出ようもんなら、むわんむわんとした空気が肌全面に覆い被さっていたというのに、この数日で、なんとも心地よい(いや、心地よいを通り過ぎてなんなら肌寒い)空気に、突如として変わっているではないですか。
「ほんとうに涼しくなるんだな」と自然の力に感心してしまった。
冷房も暖房もいらない希少な時季を満喫したいので、ついついお昼寝をしてしまいます。
昨日のお昼は、この気持ちのよい天候の中、炊き立てご飯とおかずを食べました。
(なんだかデイキャンプでも行ったんかいなという文章ですが、違います。部屋の中で、ひとりの昼飯です)
お昼にご飯を炊くことは、ほとんどありません。
休日の昼は麺類が多いし、平日は自分だけの食事なので、あるもので適当に済ませるからです。
それが先日、「書くこと」にまつわる合宿に参加をして、本題である「書くこと」以外にも、将来のこと、その将来に向かうための日々の過ごし方みたいなことまでを考えましてね。
それで、今日みたいな最高に気持ちのいい日は炊き立てご飯が食べたいなと思い、しかも、不思議と面倒がらずにご飯を炊いたんです。
2泊3日、先生と受講者の皆さんとずっと一緒に寝食して過ごしました。「食事」と「空間」、共に過ごす「人」の力で、普段の自分が持っている以上の元気がみなぎっているのをひしひし感じました。
まったく疲れ知らずの身体と心。
登山途中にたまに遭遇するどこかの湧き水みたいに、自分の中から自然とエネルギーがみなぎってくる感覚がありました。
私は過去にそれなりに研修を受講していたんだけど、今回の合宿は今までの経験とはまったく違いました。「学びを深める」という意味では研修と同じなんだけど、「研修」とは言えないというか、言いたくないというか。
この合宿の特別さは、学びが自分の中にしっくり、確実に浸透したからなんだろうなと思っています。
それだから妙に意識を高めなくても、「よしやってやろう」みたいな気迫を持たなくても、自然とご飯を炊けたのだろうと思っています。
何十年先になっても、「2025年の9月に秋田で先生と8名のみんなで合宿をしたな」とすぐに思い出せるだろうなと予想するほど、心がじんわり温まる学び時間を過ごしました。
頑張らなくても心地よい方に変わっていくってすごく不思議。
いつもと同じ時の流れの中を生きているのに、小さな変化の積み重ねがいつの間にかまったく違う景色になっている。
あれだけ暑かったのに、最近はノースリーブで原信に行くのは恥ずかしいなと思うくらい涼しくなっていたことに似ている……。
なんて、この文章の締め方には無理があったか……。
Writer
1980年生まれ。就職氷河期に社会人デビュー。26歳から13年間採用支援業界に身を置く。ひょんなことからフリーライターの道へ。ラジオとエッセイとレモンサワーが好き、スノーボードとたまにテニス、ドラム特訓中。
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